<事件の主役>
事件の主役のS氏について、説明する。1989年、S氏は長野県長野市に妻と小学生の子供2人
と暮らしていた。暮らしぶりは裕福とは言えないが、ごく普通の幸せなパパであった。高校卒業
後に会計事務所で勤務した後に長野県建設業厚生年金基金に就職した。真面目な仕事ぶりが評価
され、平成13年には事務長へと出世した。長野県の建設業加入会社から基金に納められた掛け金
を生保会社に送金する業務を担当していた。
<事件の概要>
S氏は平成17年ごろより横領に手を染めてしまう。具体的な手口は引出し額と振込額を変え、そ
の差額を横領したのである。横領した金を使って、クラブのホステスに対して豪遊を繰り返して
いた。さらに横領の手口は大胆かつ巧妙になっていくことになる。事務員に伝票を提出させ現金
を受け取ることをS氏が行うようになってしまうのであった。当然、このような生活が続くはずも
なく平成22年には横領が発覚してしまい、S氏は指名手配された。
<事件の顛末>
平成25年にS氏は逃亡先のタイにおいて逮捕され、日本へ強制送還された。S氏はおよそ24億円の
横領を認め、懲役15年の有罪判決を受け実刑が確定した。