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中国語の各方言は共通の文字組織(漢字)を持っているものの、異なる大方言話者との会話に
よる相互理解は事実上不可能に近い。つまり、中国人同士であってもコミュニケーションが成立
しない状況が生じるのである。よって、方言話者では学校教育や公共放送で使われる普通話(共
通語)とのバイリンガルとなっている事が多い。一般的にはざっくり大きく分けて、七大方言に
分類できる。
★官話(北方話)
中国語の方言区分の一つ。官話方言ともいわれる。言語としては廣義の北方方言、北方話、北方
語、北語などの呼称がある。また共通語という意味で官話も用いられる。なお方言区は北方のみ
ならず南方にまで及んでいるため、「北」とすることに異議が唱えられることもある。普通話の
基礎となる方言である。中国官話の一つが北京語であり、日本人が日本国内で中国語といえば北
京語のことである。
★呉語
呉方言は漢語の主要な方言のひとつである。呉語ともいう。1991年の調査によると、呉方言の話
者は8,700万人で、約8億人が話す漢語北方方言(官話)に継いで第2の有力な方言となっている。
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贛語
贛方言(かんほうげん)とは、中国語の方言区分の一つ。言語としては贛語(かんご)と呼ばれ
る。使用率は漢民族人口の2.4%で、七大方言では最も少ない。その分布地域は江西省中部および
北部、湖南省東南部、福建省西北部および安徽省・湖北省の一部である。その代表として南昌語
が挙げられる。
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客家語
客家語(はっかご)は、客家人が使用する中国語の方言。主に広東東部、福建西部、江西省南部
の山間部に分布するが、四川省、広西チワン族自治区などの省区や海外の華僑・華人にも多くの
話者がいる。
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湘語
湘方言(しょうほうげん)とは、中国語の方言区分の一つ。言語としては湘語(しょうご)と呼
ばれる。使用率は漢民族人口の5%前後である。その分布地域は湖南省(西北と東の一部を除
く)、広東省・広西チワン族自治区北部、四川省の一部である。その代表として長沙語が挙げら
れる。
★閩語
閩方言(福建語)は、福建省、広東省東部及び西南部、海南省、浙江省南部、台湾(台湾語)、
シンガポール共和国、マレーシア及び各国の華僑・華人の一部の間で使用される。閩語ともい
う。広義の福建語の推定使用人口は7000万人程度である。狭義には厦門、泉州などの福建省南部
で話される閩南語を指す。なお、発音表記は注音符号を使う。
★粤語(広東語)
広東省、広西チワン族自治区、香港、マカオおよび華僑、華人の間で使用される。推定使用人口
は8000万人。マレーシアにも多くの話者がおり、欧米やオセアニアの中国系社会でも主要な方言
となっている。香港では、テレビ、ラジオのメディアで使われている優勢言語であり、映画、演
劇、歌謡曲でも広く使用されている。また、新聞、雑誌、Webサイトでも方言をつかった文章が
広く書かれており、これを表記するための方言字も多く作られている。なお、香港では繁体字
で,広州では簡体字で,マカオでは両方で表記。