年金加入の義務は就労している人が勤務する国で生じるので、国籍にかかわらず、ドイツならば
ドイツの、日本ならば日本の年金制度に加入することになる。しかし、日本の会社に勤務する日
本人がドイツ国内で勤務することになった場合、両国の年金制度に同時に加入しなければなら
ず、年金の掛け捨てが生じる状況があった。この二重加入を防止する目的で結ばれた年金に関す
る日本・ドイツ間の取り決めが「日独社会保障協定」(1998年4月24日調印、2000年2月1日発
効)である。
日独社会保障協定によると、日本の事業所から派遣される被雇用者は、その期間が5年までであれ
ばドイツでの年金加入は免除され、ドイツ勤務中も引き続き日本の年金制度にのみ加入すること
ができる。該当者はドイツ渡航前に社会保険事務所に申請し、日本の年金制度の対象者であるこ
とを証明する「適用証明書」を公布してもらうことになる。なお適用期間は、ドイツ年金保険組
合への申請により認められれば、最長3年まで延長できる。さらにこの制度は、日本の自営業者が
ドイツで一定期間、同業の自営活動を営む場合にも適用される。