〔統合失調症の厚生労働省の認定基準について〕
障害1級
高度の残遺状態又は高度の病状があるため高度の人格変化、思考障害、その他もう想・幻覚等の異常体験が著明なため、常時の介護が必要なもの。 ※常時の介護が必要な程度ものとは、他人の介助を受けなければほとんど自分の用を弁ずることができない程度のものである。
障害2級
残遺状態又は病状があるため人格変化、思考障害、その他もう想・幻覚等の異常体験があるため、日常生活が著しい制限を受けるもの。
障害3級
残遺状態又は病状があり、人格変化の程度は著しくないが、思考障害、その他もう想・幻覚等の異常体験があり、労働が制限を受けるもの。
統合失調症は、予後不良の場合もあり、国年令別表・厚年令別表第1に定める障害の状態に該当す
ると認められるものが多い。しかし、罹病後数年ないし十数年の経過中に症状の好転を見ること
もあり、また、その反面急激に増悪し、その状態を持続することもある。したがって、統合失調
症として認定を行うものに対しては、発病時からの療養及び症状の経過を十分考慮する。 その他
認定の対象となる精神疾患が併存しているときは、併合(加重)認定の取扱いは行わず、諸症状を総
合的に判断して認定する。日常生活能力など に当たっては、身体的機能及び精神的機能を考慮の
上、社会的な適応性の程度によって判断するよう努める。また、現に仕事に従事している者につ
いては、労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、その
療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、
他の従業員との意思疎通の状況等を十分確認したうえで日常生活能力を判断すること。
神経症にあっては、その症状が長期間持続し、一見重症なものであっても、原則として、認定の
対象とならない。ただし、その臨床症状から判断して精神病の病態を示しているものについて
は、統合失調症に準じて取り扱う。 なお、認定に当たっては、精神病の病態がICD-l0による病態
区分のどの区分に属す病態であるかを考慮し判断すること。
なお人格障害は、原則として認定の対象とならない。
統合失調症は、日常生活能力がどれだけ低下しているかが判定の大きな部分を占めている。仕事
や対人関係、社会活動など、普通ならできるはずの日常生活ができなくなった場合、障害年金で
は重症と考え、支給を決定している。
〔診断書が重要〕
障害年金の認定判断は主治医が作成した診断書の障害状態の評価に左右されます。特に精神疾患
の場合、客観的な検査数値(IQを除き)で障害の程度を判断できないこともあって、診断書の内
容が審査に与える影響は大きい。